【対談】ラントリップ 大森 ×W ventures 東 – DOスポーツ最大の人口を誇るランニングをテーマに戦うベンチャー『ラントリップ』が目指す世界、ビジネスとは? –
写真左:W ventures 代表パートナー 東 明宏(以下 東)
写真右:ラントリップ株式会社 代表取締役社長 大森 英一郎(以下 大森)
大森
東さん、本日は宜しくお願いします。
東
宜しくお願いします。
大森
まず何から話そうかというところなんですが、あらためて東さんの投資家としての話を聞いていいですかね?
東
えーと、東です、宜しくお願いします(笑)。
僕はベンチャー投資をやって7年ぐらいなんですど、本格的にやったのは前の会社のGCP(※グロービス・キャピタル・パートナーズ)で6年、足を踏み入れたのはグリーの時で、僕は事業サイドだったんですけど、ゲーム会社として投資する案件があって、それが思いの外うまくいって、すごく楽しいなと思ったんですよね。
大森
事業畑からの転身というのが、特徴なんですかね。
東
良く言われるのは、東さん事業好きだよねと。
投資家として、経営者の邪魔にならない範囲内で事業にもコミットするのが、私のスタイルみたいですね(笑)
そういう背景もあって、今は基本的にはコンシューマー向けの事業に投資をしていますね。
大森
コンシューマー向け、というのと、シード・アーリーからやる、というのがW venturesの特徴のようですが、レイターからアーリーに入ってくると、リスク増えるじゃないですか?その辺はどう考えてるんですか?
東
ぶっちゃけ活かせるところと、自分自身もチャレンジしないといけないなという部分はあります。一方で、お役にたてると思うのは資金調達の舞台で、後ろの人たちが何考えているのがわかるんです。
そこの逆算はできるので、一緒に泥んこになりながらも途中経過のイメージをクリアにいかせるかなと。
大森
なるほど。今回東さんとのご縁を通じて、そこが本当にありがたいなと思っていて。
あの、ワンピースで例えますけど(笑)
新世界に出ようとしている僕たちが、新世界を知ってる海賊船から来た人が、そこに行くとなにが起こるのか、地図も武器も持っている人がうちの海賊船に助太刀に来てくれた感覚というか。
今は他にどんな会社に投資しているんですか?
東
基本的なフォーカス投資領域が3つあって、ライフスタイル、エンタテイメント、スポーツ。
それ以外絶対投資しないというわけではないのですけどね。
大森
最後にスポーツ、ってきてますけど、なぜスポーツなんですかね?
東
そもそも今コンシューマー向けじゃない方が熱いじゃないですか(笑)
そんな中で、やはり我々はコンシューマー向けやりたいよねと。
さらに新さん(W venturesの代表パートナー)も私もエンタメビジネスをやる会社にいたので、エンタメはそこですよね。
もっと自分らしく生きたい、余暇を楽しむ、だからエンタメはもっと変わっていく、可能性があるなと。
衣食住のように人々の生活に必須なものじゃないけど、だからこそエンタメって人生をより豊かにしてくれるものだと思うので。
その延長線上にスポーツもあると思っているんですよね。
大森
私もスポーツとエンターテイメントって、ほぼほぼイコールだと思ってるんですよ。
観たり、プレイしたりすることで人生が豊かになるもの。
そこにさらに筋書きが無いのがスポーツなんですよね。
さらにこれから「健康」が世界で注目されていくと思うんですけど、健康は我慢の対価ではなくてなっていくなと感じています。我慢が必要なものって続かないですよね。続けるためには楽しくないといけなくて、楽しいから続けられて、続けられるから健康になれる。だから「楽しく運動できる」というコンテンツが今後さらに高まっていくと思うんです。
東
ラントリップはまさにそこですよね。
ランニングをもっと楽しくする、走らない人からするとネガティブなイメージが多いですからね。
大森
ランニングがもっと楽しくなれば、もっと健康な人が増える。
これは僕の原体験でもあるので、ランニングをもっと広めると、世界はもっと幸せになると思うんですよね。
東さんはそんな我々に可能性を感じてくれて、ほんとありがたいなと(笑)
東
投資に関して言うと、何をやるかも当然大事なんですけど、やっぱり誰がやるかもすごい大事だと思っていて、アーリーであればあるほどそうだと思いますね。
ラントリップに関していうと、世界観を大森さんが体現しているんだなと。
世の中に対してもすごくわかりやすいストーリーだし、この世界観に対して、大森さんがやってダメならダメなんだろうなと(笑)
最近スポーツ選手の起業家が増えてると思うんですけど、大森さん何年前からやってるんでしたっけ?
大森
4年前からやってますね。
東
4年前ですよね、僕はスポーツ選手の起業とかすごく良いと思っていて、最近増えてるんですけどやっぱりまず成功事例がないと広がらない。
ランニングってマーケットもそこそこ大きいので、そこにストーリーをもった経営者が4年も前からやっているので、大森さんには何とか成功してほしいなと(笑)
大森
すごいプレッシャーですが、ありがたいですね(笑)
東
私の大森さんの印象を話しましたけど、大森さん、私に対してどう思っているんですか?(笑)
大森
お会いして初見で、僕としては個人的に空気が合うなって、すごい思ったんですよね、勝手ながら(笑)
ずっといてストレスないというか、沈黙があっても全然大丈夫というか。
東
大森さんって、割とどんな人でも大丈夫そうですけどね(笑)
大森
いやいやいや、苦手な人だっていますよ(笑)
例えば、そうですね、なんかダメな理由ばっかり考える人いるじゃないですか。ああいう人苦手ですね。
逆に言うと、東さんは経営者と一緒にどうしたらできるかを考えてくれる人ですね。
東
やっぱり自分が事業を経験をしているんで、頭ごなしにダメな理由だけ並べられるとカチンとくるじゃないですか、「だったらあなたやってみろよ」みたいな(笑)
大森
指摘がムカつかなかった、というのが東さんの印象かもしれないですね(笑)
東
だってやってる人が主役だから、そこはリスペクトなんですよね。
投資家は盛り上げ役でしかないので。
東
ラントリップって、何マーケットで戦ってるんですかね?
って、最近ずっと思っていて。
ランニングマーケットって言っちゃうと、それ種目のことしか言っていないので。
もうそれを4年やってきている大森さん、どう考えてるんですか?(笑)
大森
これは昔から変わらないんですけど、ベースは世の中を良くしていきたいと思っているんですよね。
ランニングと地域というのが、当時の自分の強みだったので、そこをベースにはじめています。
事業を進めれば進めるほど、ランニングはやっぱり世の中に必要なもだなって思いを強くしています。
東
4年もやってると、とは言え変わってきたものってありますよね?
大森
どっちに向くか、というのはありますね。
地域を良くしていくことにフォーカスするのか、ランニングを楽しむことをもっとダイレクトにハッピーにしていくのか。
今はまずはランナー、そこがハッピーに広がれば、結果的に地域にも貢献できるなと。
あと嗜好品にすごい近いんですよね、ランニングって。
スポーツなんですけど、人生を豊かにするツールとして、何となく最近捉えてますね。
余暇を充実させるためのツール、それが健康とも紐づいていくんですよね。
東
4年やってすごいなと言う話でいうと、大森さんチームの組成がうまいなって思うんですよね。
社員の顔色みると何となく雰囲気わかりますし、経営チームもバランスいいですよね。
僕がなんだかんだ一番見ているのは経営チームのバランスで、そこがダメだとどんなに社員が頑張っても組織はうまく回っていかないので。
大森
創業当初、自分としてやりたいテーマは明確だったので、それを具現化できる竹村(現ラントリップ取締役)に偶然出会い、二人では埋められない領域がではじめたときにまた冨田(現ラントリップ取締役)に出会い、そういう部分はあるんですけどね。
東
すれ違ったり、すり減らしたりする部分もあるじゃないですか、そういったもの含めてまず4年。
大森
僕の強みがあるとしたら、続けることなんですよね。進んでる感覚が仮になくても、その先にあるものを信じて続けられるというか。
スポーツ推薦でもない自分が、身体能力がすごい日本トップクラスの人たちの中で4年ずっと努力して、最後の年に箱根駅伝に出場するという切符を掴めたという自信もあって、まぁ4年やってこれたかなと。元スポーツ選手ならではかもしれないですね。
ただ長かった感覚も、大変だった感覚もそれほどないというか、創業時のテンションでやれてますね。
東
ちなみに実現したい世界観について、4年やってできたことできなかったこと、どうですか?
大森
当然まだまだ、理想に対しては程遠いんですけど、でも4年前に描いて始めたことを実現できている実感少しづつ作れてきましたね。
東
並走させてもらうからには、大森さんには劇的な成長を期待したいですけどね(笑)
大森
そういう部分、欲してます(笑)
東
良い意味で、成し遂げたい世界観をどれだけ拡大解釈して、経営者の目線を高く維持し続けるって大事だと思っているんです。
これ投資するときに聞いたかもしれないですけど、ある意味増資しなくても、社会的なニーズはあるわけなんで、一人一人との関係性を大事にして、スモールチームでやっていく選択肢もあるじゃないですか。成し得たいサイズとか、野望みたいな話でもありますよね。
大森
規模は、やっぱりこだわっていきたいと思っていて、知っている人は当然として、全く知らない人も幸せになってくれる、そんなサービスを世界中に広げていきたいですね。
そして、それをある程度成し得た人と並走してきた東さんのサポートが、すごく楽しみというか。
東
会社の天井は、やっぱり社長の天井なんで。
社長が一番成長するんですよね。
だから、大森さんはもっとエゴイスティックに行ってもいいと思っていますね。
大森
来年2020のビッグイベント迫ってるんですけど、このあたりの盛り上がり、投資家の目線としてどうですか?
東
足元温まってきている感じはしますよね、スポーツ関係者のベンチャーへの関わり、スポーツ選手によるは投資、IT企業のスポーツチーム買収にしても、スポーツ、/アスリートを軸とした胎動は感じますよね。
大森さんは2020に、何を考えてるんですか?(笑)
大森
2020年は、観るスポーツの年、そこが脚光を浴びてビジネスになっていく転換期かなと。
そこからいかに「する」スポーツにつなげられるか、それがスポーツ業界全体で考える必要があるかなと。
観て、熱狂した人をいかに「する」につなげていくか。逆もしかりで、そこの接続をうまく作っていく部分はまだまだ課題が多いですね。
スポーツ熱は明らかに高まるんで、「あーオリンピック楽しかった」で終わらないようにしたいですね。
東
そこでラントリップ社が果たす役割は何かあるんですか?
大森
スポーツしたい時に、やっぱり一番取り入れるハードルが低いのがランニングだと思っているんですよね。
でもランニングって苦手意識持っている人も多かったり、続けることが難しいスポーツだったりするので、そこに対してラントリップができることを提供してくべきだと思っていますね。
他の競技の基礎体力作りにも欠かせないものなので、全競技、人類に共通する役割はあるのかなと。
それがランニングの魅力であり、可能性だと思っています。
東
ランニングって掛け合わせがわりとしやすいというか、領域が広いんですよね。
だから、どこに掛け合わせるかは、可能性を感じる反面、どこに集中するかを意思決定しないといけない側面もあると思うんですよね。
大森
「街と健康」のかけ合わせは大きいと思っています。
例えば公園の民間活用、ここはすごく可能性があるところで、「Park-PFI」って言うんですけど、公園に民間企業の営利目的の施設を入れて、そこでマネタイズしたお金の一部を公園の保全や改善につなげていくという考えが広がっています。今はカフェなどを作るケースが多いんですけど、ハードが行き渡った先にはきっとソフトが必要になってきます。そこでランニングというソフトはすごくバリューが出せると思っていますね。
「楽しく健康になれる街」というのはこれからより一層価値が高まると思っていて、だからいつか地域ブランディングや都市開発の文脈でもランニングを始めとしたDoスポーツに注目が集まるようにしていきたいと思っています。
あと、健康データというのは非常に関心の高い分野ですよね。いろんなところからそういう文脈お声がけいただくことも多いので、会社としても検討をしているところです。
東
スポーツ領域のビジネスで、元スポーツ選手による大成功はこれからたくさん生まれてくると思っているんですよ。4年先行して走っている大森さんにはその先陣を切って大成長してもらいたいなと思っています。人生100年時代、豊かに生きることにみんな貪欲になっていく中で、スポーツの役割は大きいと思っています。ランニングというDoスポーツの中では既に大きなマーケットで、新しいビジネスを創出し、人々の生活を豊かにしていって欲しいなと思っています。
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