スタートライン

 

W ventures代表パートナーの新です。

 

たくさんの方々にご協力いただき、この度 W venturesというベンチャーキャピタルファンドを立ち上げることができました。 従来ミクシィの100%子会社として活動していたアイ・マーキュリーキャピタルの社名変更ではなく、新たに二人組合形式で立ち上げたファンドにミクシィにLP出資いただき、私はGPとしてコミットさせていただくことになります。

 

NTTドコモ、ミクシィで何やかんや10年くらいベンチャー投資という仕事に携わってきましたが、42歳にしてようやくスタートラインに立てた、と思っています。

 

新しいファンドからはC向けサービスを中心に、ゼロイチの立ち上げに近いタイミングから出資・支援させていただく予定です。特にエンタメ、スポーツは重点分野として手掛けていきたいと考えています。

 

新卒(1999年!)で入ったドコモの配属面接の時からずーっと「コンシューマ向けのサービスの立ち上げをやりたい」と言い続け、2011年にミクシィに転職するときの採用面接では「SNSでスポーツを盛り上げたい」と言っていたことが、紆余曲折を経てひとつに繋がったような感覚です。つまり、フレッシュな気持ちでやる気に満ち溢れていますw

 

そして、なぜ新たにファンドを立ち上げたのか、言い出しっぺである私から簡単に経緯をまとめておきたいと思います。

 

思い返せばこの10年ほど、事業会社の中の立場としてベンチャー投資という役割にどう向き合うべきかずっと悩み続けてきました。年商5兆円もある会社にとっての数億円のキャピタルゲインの意味とは何か、スタートアップにとって事業会社から投資を受けるメリットとは何か(むしろデメリットの方が多くないか)、世の中に素晴らしいVCファンドが数多く存在するのに自社でVC機能を持つ意味ってあるのか、そもそも事業会社としてベンチャー投資する目的は何だったっけ、その目的を果たすために投資する必然性ってあったっけ、自社事業のプロモーションに投下した方がいいかも知れないお金を外部に投資する意味はあるのか、、、という堂々巡りをしながらも30社近くの新規投資を手掛けさせていただきました。

 

また、ベンチャー投資を手掛ける一方で、裏ミッションとしてVCファンドへのLP出資も担当していました。既に一定の地位を確立されているファンドにLP出資させていただくというところから始まり、徐々に界隈でお付き合いのあった方、何なら飲み仲間が立ち上げる1号ファンドにLP出資させていただくことが増えていき、投資金額ベースではLP出資の方がすっかり表のミッションになってしまうくらい出資させていただいたと思います。裏ミッションを遂行するなかで、ベンチャーキャピタリストとして独立、成長されていく方々の姿を見て私も大変刺激を受け、いつか私も挑戦してみたいと思うようになりました。

 

そんな状況で、たくさんのベンチャーキャピタリストの方とCVCはどうあるべきか議論をさせていただきながら、自分ももっとベンチャー投資に踏み込んで関わりたいと漠然と思うようになり、それらを形にするためにはどうすればいいか悩んで考え抜いて導き出した最適解が「W venturesの立ち上げ」となります。

 

まず、CVCは事業シナジーと財務リターンのどちらを追い求めるべきかという神学論争のような問いについては各社の目的が異なるので「ケースバイケースです」と回答するしかないのですが、ミクシィにとってのCVCは既存事業とのシナジー創出よりも新たな事業の柱を手に入れるためのソーシング手段としての意味合いの方が明らかに大きいということを踏まえると、既存事業とのバランスを一切無視してフラットな視点で投資判断することが中長期的に大きなリターンにつながると考えました。そして、ミクシィがこれから注力しようとしているテーマに私の投資テーマとしてコミットしたいかと自分に問いかけると、答えはYESでした。そこで、C向け事業を中心に投資をするが、ミクシィとは一定の独立性を持ったファンドの設立を自ら提案して承認いただき、この度無事ローンチさせることができたという次第です。

 

私のやや無謀とも思える企画を最初から前向きに受け止めていただき、建設的に議論を進めていただいたミクシィの経営陣には一生足を向けて寝られません。この時の意思決定が正しかったと思っていただけるよう邁進する所存です。

 

また、このファンドを任せていただけることになったのは、今までご指導いただいたベンチャーキャピタリストの皆様の支えと、素晴らしい投資先に恵まれたからに他なりません。30代半ばを過ぎてベンチャー投資という仕事の面白さや難しさ、奥の深さが分かり始め、世の中を前進させていくために重要な役割を担っているということを理解できるようになり、仕事がめちゃくちゃ楽しくなりました。本当にありがとうございます。

 

また、長年に渡りミクシィの取締役の方々と直接議論できたことはこれ以上にない贅沢な経験でした。時代の代名詞とも言えるサービスを立ち上げ、様々な修羅場を潜り抜け、業界中を驚愕させるような偉業を成し遂げたひとたちから投げ掛けていただいた数々の本質的な「問い」は、胸に刻んでいきたいと思います。

 

最後に、このファンド立ち上げに際してはトップティアのVCの経験を持つ東さんの参画も凄く大きな意味合いを持っていると考えています。W ventures自体が高い志を持って本気で取り組むということを感じ取っていただけるのではないでしょうか。私にとっては同じキャピタリストとしての目線で議論し、支え合う仲間ができたことはこれ以上にない嬉しい出来事です。今まで悶々と考えていたことが一気にかたちになって動き出しそうな予感を感じています。中長期的には外部パートナーも含めて支援体制も強化していきたいと考えています。iモードやmixiを超えるような事業を育てていきたいと本気で思っています。

 

何はともあれようやくスタートラインに立つことができました。振り返るのはこの辺までにして、後は未来に向かって進むのみ。これから出会う起業家の皆様には是非ご期待いただければと思います!

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